神野哲夫先生の「若き医師へのメッセージ」

 橘鏡会誌で少しご紹介しました神野哲夫先生の「若き医師へのメッセージ」。
現在ネット上でも文献上も残っていないとのことです。
すべてではありませんが、私なりに要約させていただき、ここにご紹介いたします。
 
1.プロの医師とアマチュアの医師の違い
知識の差、技量の差だけではなく、プロの医師とは患者の前で仏になれる人だと思う。
普段、いやな奴は沢山いる。そんないやな奴が、患者に対して何故あれほど笑顔を絶やさず、徹底的に奉仕できるのであろうか、という様な医師がプロであるかなと思っている。

2.自分の特性は何か
脳外科医の中でもいろんなタイプがいる。
管理職に向いている人、手術ばかりしていた方が良い人、外来でおじいちゃん、おばあちゃんと楽しく会話しながら過ごす人、学問一辺倒の人、研究一筋の人、政治家になる人などなどである。大体、天は二物を与えない、自分に与えられた天分の才を1.0とすれば、他の才は0.1か0.2が普通である。
しかし多くの人は自分の才に気がついていない。特に若い人は知らない。
良き師に出会っていると、的確にそれを指摘してくれる。師とのめぐり合いは大切である。

3.神の啓示
師とのめぐり合いは大切であるが、必ずしも良き師とめぐり合うことはできない。
しかし、人間毎日努力し、フル回転していると、所謂“神の啓示”というものが下る。「お前の特徴はこれだぞ」「貴方はこれに向いている、この方向に進みなさい」などである。ただ、これはフル回転していないと、この啓示は下らない。
もう一つ、「評価は他人がする。自分がするのではない」。
我々の場合、評価は患者が下す。

4.患者ほど怖いものはない
患者は大体において医師、特に若い医師より年上であり、より人生経験が豊富であり、より博識であり、より社会的地位が高く、より金持ちである。それがたまたま病気になり、そしてたまたま白衣を着ている若僧に「先生、先生」と言って頭を下げているだけである。そこを見誤ってはならない。
患者から病気のことを聞かれたとき、答えが出来ないときは生半可な返事をするな。
「今は解りません。今から調べてきます。」と言えば患者は必ず待っていてくれる。

5.若者は涼しげでなければならない
涼しげとは勿論心のことである。しかし見た目も大切だ。

6.価値観の違いを持つ若い医師が多すぎる
そう早急に、また勝手に物事の価値を自分だけで決めるな。
「礼儀を知らない」若者は、将来“血の涙”を流す時が来ることを知らない。

7.世渡りのコツ
逆境にある人に徹底的に親切であれ。優しくあれ。
どんなに偉い人も、お金持ちも、病気になった時は逆境にいる。
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